無理やりワンウェイ 奥能登1日目〜垂水の滝から5.3キロ〜

毎年、ゴールデンウィークは長く休んでいる。
昨年は10連休で、奥多摩への安否確認から始まり、カヤック、会津駒ヶ岳など、しっかり遊ぶことができた。
今年は9連休。
5月6日 土曜日に長野県上田市の近くにある「東御市梅野記念絵画館」で川合愛美さんのピアノコンサートがある。
限定30人だったコンサートの予約が取れたので、次はそのイベントに絡めた遊びを考えることにした。

IMG_1408_20230503.jpgIMG_1414.jpg5月3日 水曜日、朝(夜?)3時に家を出て能登半島へ向かっている。
前日はカミさんの友達とのランチや、息子の引っ越しがあったりでバタバタしていたけど、なんとか準備を整えることができた。
6時30分に上信越自動車道の信濃インターを通過し、雪を被った山々を見ながら快適なドライブを楽しんでいる。
今日の目的地までは約700キロ、9時間半の道のりなので、まだ半分も走っていないけど、こんな道が続くのなら苦にならない。

能登半島を走っている鉄道の最北端の駅は「穴水駅」である。
そこから半島の先端にある禄剛崎までは直線距離で50キロ。そのエリアに鉄道はない。
バスは走ってはいるけど、本数や乗換えなどを考えると、時間の読めないカヤック旅では使いづらい。
そんなフィールドではあるけど、今回はカヤックでのワンウェイにこだわり、車や自転車をデポしながら、なんとかワンウェイで移動したい。
プラス、奥能登での3泊の内、1泊は現地の街に繰り出したい…使うお金は最低限…など、様々な制約がありながらもなんとか計画を作り上げた、
ところが、出発直前になって海況が悪い方に変わってしまった。
自然相手では計画変更を強いられるのは当たり前なので、計画の最終決定は現地の様子を見てから決めることにした。

IMG_1428.jpg明日 5月4日に泊まる珠洲市の民宿に自転車を預けてから、垂水の滝パーキングににやって来た。
最初は窓岩から出艇する計画だったけど、海況を考慮して少しだけ距離を少なくした。
2日目に民宿のある珠洲市の海岸にゴールした後、預けた自転車で出艇地まで戻り、置いた車を回収する。

(2024.3.4)
計画時に出艇場所として考えていた輪島市の曽々木海岸(そそぎかいがん)にある奇岩「窓岩」は、2024年1月の地震で崩落してしまった。

P5030001_20230503.jpg垂水の滝に近い寄り道パーキングからトイレを挟んで北側にある駐車場は観光客が少ない。
こそこそカヤックを組み立て、緑色の岩礁帯の間からカヤックを浮かべた。
8年ぶりの日本海である。
日本海集合

P5030004.jpg久しぶりにセットしたマップケースは防水用のベルクロがバカになっていた。
マップにはキャンプができそうな浜をチェックしてあるけど、実際にどこでできるかはわからない。

P5030005_20230503.jpg予報では、昼過ぎから風が上がる。
現在は、13時を少し過ぎたところ。
海況は穏やかだけど、なんとなく海面がざわつき始めているような気がする。

P5030006.jpeg絵に描いたようなベタ凪。
風は吹かないのかな?

P5030008.jpg10分経過。
まだまだ大丈夫…と思った矢先、西風が急激に上がってきた。

この辺りは水深が浅く、隠れ岩も多い。
波に押されて、岩に乗り上げないようにルートを調整する。
三浦で言えば雨崎辺りで風に吹かれた時の感じに似ているけど、浅い岩礁帯を避けるように沖出ししたところで状況がいっそう悪くなった。
風予報の通りだとすると、これからますます風は強くなり、その状況が数時間続く。

P5030009_20230503.jpg撤退!!
…を決めたものの、この辺りはゴロタの浜が続き、けっこう手前から水深が浅いので、ちょっと厄介。
波の合間を見計らい、腰あたりの水深がある辺りでカヤックから降りて浜に近づいた。

P5030014.jpegこんな海岸である。

IMG_1430.jpgカヤックを引き上げ、作戦を考える。
ここでキャンプをしようと思えばできないことはない。
しかし、5.3キロしか進んでいないので、明日は残りの40キロを漕ぐことになる。
距離はなんとかなると思うけど、明日の午前中は南西の風が残るので、禄剛崎を超えるまではその中を進まなければならない。
どうしましょ?!
5分ほど思案した結果、明日は禄剛崎に近い浜まで移動して再出艇することにした。
ワンウェイにはならないけれど、安全に旅を続けることを選んだ。
そうと決まれば、車を取りに行く。
幸いにも出艇地から5.3キロ地点なので、歩いて車まで戻っても1時間ちょっとで着ける。
パソコンなどの貴重品だけをドライバッグに入れて、歩き始めた。
沖縄屋我地島での撤退を思い出す。
⇨2015年 二度あることは三度ある 〜古宇利島撤退〜
⇨2016年 風男の悲劇 〜屋我地島〜

IMG_1434.jpg途中にあった塩田では、塩作りの真っ最中。
500年の歴史をもつ「揚げ浜式製塩」は国の無形文化財らしい。
今思えば、お土産で買ってくればよかった。
珠洲の塩(外部サイト)

IMG_1436.jpg風が強い。

IMG_1439_20230503.jpgIMG_1432.jpgこんな道をひたすら歩く。
夏だったらめげるだろうけど、風が心地いい。
もちろん歩いている人はいない。

IMG_1443.jpgこのトンネルを抜けたらもう少し。
千葉のトンネルと違って怖くない。
南無谷撤退

車で撤退地まで戻る途中、歩いている時に見つけたキャンプ適地を再チェック。
今日のキャンプ地は決まった。

IMG_1450.jpgカヤックをカートップしてキャンプ地まで戻り、カヤック旅では使わないチェアとテーブルを浜に下ろした。
本日のお疲れ様会開始。
撤退時の気分とは180度変わり、とっても幸せな気分になっている。

IMG_1456.jpg長かった1日が終わろうとしている。
今は、風もなくなり静かになった。
明日の再出艇地も決まったし、風予報もまぁまぁな感じになっている。
ぜひとも禄剛崎、珠洲岬を超え、宿のある浜まで辿り着きたい。

(2日目につづく)

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