何も変わっていない... -福田村事件-

映画「福田村事件」を観てきた。
福田村事件
私は製作会社から特別鑑賞券を送ってもらっていたのでネット予約ができず、少し早めに行って窓口で席を選んだ。
なんと、朝一番の回だというのに、ほとんどの席が予約で埋まっていた。

映画の前半は、登場人物の生活やそれぞれの性格、そして村や仲間の中での立場を丁寧に描いていて、これがクライマックスに繋がっていく。
その時から違和感を出しまくっていたのは、水道橋博士が演じた村の自警団を結成する在郷軍人。
在郷軍人の人達は、戦争に行き国の為に戦ったという自負がめちゃくちゃ強く、戦争に行かなかった人達を "下" に見ている。
そして、ジャーナリズムの精神を忘れた新聞社は、政府に忖度した記事や、朝鮮人に対して悪い印象を与えるような誘導記事を書いている。
この時代の新聞社は、記事にデマを盛り込み、読者に意識をすり込む(洗脳する)役目に成り下がっているわけだけど、なんのことはない、現在のテレビや新聞も当時と同じ役目を果たしているので、何も変わっていない。

中盤は、9月1日に発生した関東大震災の混乱を描いている。
そして後半。
内務省が出した「朝鮮人が集団で襲ってくる」とか「朝鮮人が略奪や放火をした」というデマを新聞が"そのまま"書き、記事を疑うこともなく"そのまま"読んだ街の人がデマを拡散し、いたるところで朝鮮人を見つけては虐殺した。
そして福田村でも、その疑心が膨らみ、ある事をきっかけに一気に村人をパニックに陥れた。

この時に起こった事は、"その時代にあった特別なこと" ではない。
実は、その当時と今は何も変わっていない。
政府は平然とウソをつき、メディアや御用学者、御用タレント達は政府に忖度し、人々はSNSでデマを拡散、人々は相変わらず中国や韓国を叩き、アイヌや琉球の人を差別し続けている。

関東大震災の時に起こった、この悲惨な虐殺事件を知っている人は少なく、なんの根拠もなく信じていない人も多い。
歴史を勉強せず、考えることをさせない教育を受けてきた日本人は、都合の悪いことは隠して忘れたい…という人種に成り下がっている。
私は、誰かを攻撃する人は、何かに怯えている人だったり、人よりも自分の方が上でありたいという、ある意味 "弱い人" だと思っている。
"弱い人"が多い今、もし大震災が発生したら、当時と同じような状況になるかもしれない。

(あとがき)IMG_2610.jpg映画を観終わった後で、今月末で閉店する喫茶店「アトム」に寄り、ホットドッグを食べた。
この店のホットドッグは有名な一品なので一度は食べてみたかった。

IMG_2313.jpgこれは映画の時間を間違えて1時間早く着いてしまった8月11日の写真。
時間潰しで初めて入ったアトムでコーヒーをもらったら、厚切りのトーストが付いてきた。
それにしても喫茶店で飲むコーヒーは美味い!!
ちなみに、ドトールとかシアトル系のコーヒーショップと喫茶店が並んでいたら、私は迷うことなく喫茶店に入る。

(あとがき:2023.10.16)
映画「福田村事件」が第28回釜山国際映画祭でニューカレンツ部門の最優秀作品賞を受賞した。
森達也監督そして、主役を務めた井浦新さんと田中麗奈さんのコメントがとってもいい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/79e1a78bd6422b194052cd7cebdab9fa2fbe2e99