The Beyond 〜ヒルマ・アフ・クリント展〜
ヒルマ・アフ・クリントは、スウェーデン出身の画家。
その名前を知ったのは、9年前に観た「パーソナル・ショッパー -PERSONAL SHOPPER-」がきっかけ。
⇨やっぱり…な結末
劇中でクリステン・スチュワート演ずる主人公モウリーンが、ヒルマ・アフ・クリントの事を調べるシーンがある。
ヒルマ・アフ・クリントの絵は、抽象絵画に属する。
抽象絵画といえば、ロシア出身のカンディンスキーやオランダ出身のモンドリアン(二人とも男性)が先駆者として知られていたものの、ヒルマはつい最近まで無名。
しかし、ヒルマは彼らよりも先に、そのような絵を描いていた。
カンディンスキーが、有名な「コンポジションシリーズ」の創作を開始したのは1910年。
ヒルマの「神殿のための絵画」は1906年から、有名な「10の最大物」は1907年に描かれた。
ちなみに、映画「ダブル・ジョパディー -DOUBLE JEOPARDY-」では、カンディンスキーの絵が、アシュレイ・ジャッド演ずる主人公リビーにとって重要なアイテムとして登場する。
3人の生年-没年を調べてみた。
ヒルマ 1862年10月26日-1944年10月26日(82歳没)
カンディンスキー 1866年12月04日-1944年12月13日(78歳没)
モンドリアン 1872年03月07日-1944年02月01日(71歳没)
不思議なことに、亡くなったのは3人とも"1944年"。
ヒルマの作品は、当時の世の中には理解されなかったので、ヒルマは遺言で死後20年の間作品の公開を許さなかった。
しかし、20年でもまだ足りなかったらしく、1970年、遺族からの作品寄贈をストックホルム近代美術館は拒否している。
そして、2010年になり、彼女の作品が多くの人の目にとまるようになる。
なんと、ヒルマの死後70年近く経っていた。
そして2025年3月。
ヒルマの絵が日本で見られることになった。
これは、アジア地域初の回顧展。
⇨東京国立近代美術館 ヒルマ・アフ・クリント展 -Hilma af Klint: The Beyond-
⇨The New York Times Style Magazine, Do You Know About Hilma af Klint?
この回顧展は、世界中を旅して回っているので、これを逃したら生きてるうちに見れないかもしれない…。
2025年6月12日、会期終了の4日前に東京国立近代美術館に出向いた。
事前にオンラインチケット入手していたので、入館はスムーズ。
音声ガイドを聞きたかったので、650円を払って端末とヘッドホンを借りた。
これは大正解。
各コーナーの前で、作品のガイドが音声で聞けるのはとってもいい。
会場では、作品の前で立ち止まるのはもちろん、目の前まで近づくこともできるし、写真も許可されていた。初期の作品。
非常に繊細。ヒルマ本人の写真と、「ユリを手に座る女性」の右下にあったサイン。
「進化、WUS/七芒星シリーズ」と「10の最大物」。
直筆のノート。
上の写真は「神殿の計画案」らしい。
時々作品前に置かれたベンチに腰かけ、音声ガイド端末で選択したBGMを聞きながら2時間ほど滞在。
会場出口付近でオリジナルグッズが販売されていたので、ヒルマ・アフ・クリント展のポスターにも使われている「10の最大物」の額絵とフレームを購入。
事務所に飾ることにする。
無事ディスプレイ完了。(あとがき)
中学生の時、美術の時間に好きな絵を模写するという課題があった。
私が模写したのは、サルバドール・ダリの「ミレーの建築学的晩鐘」。
ダリは、超現実主義 (シュルレアリスム)の画家なので、抽象絵画を描くヒルマやカンディンスキーとは違うけど、眼に見えるものを違った角度から見たり、感じたりする感性は、子供の頃からあったように思う。