使える女と褒められたい男 〜那須岳〜

7月の尾瀬でパーヤマ家に起こった家庭問題については、なんとか事なきを得て落着した。
しかし、事の顛末を解説してくれたパーヤマからのメールには「秋のトレッキングは記念日と被らないので問題ありません。」とあった。
リュックの中身は何ですか?
どうやら、夕食会(宴会?)の行われた山小屋のベンチで、秋にもどこかに行こう…みたいな話が出ていたらしい。

それから3ヶ月。
10月第二週に「秋のトレッキング」が計画された。
イベント会場は、日帰りで行くには少し遠い那須岳。
私は、8月にも行った場所だけど「紅葉の時期に来たら素晴らしいかもしれない。」と言っていたことが早くも叶えられて嬉しい。

ところが!!、決行3日前になって言い出しっぺのパーヤマから連絡が入った。
「おはようございます。先週金曜日に右足膝・足首を負傷してしまいました。天気が怪しいので、延期かなと思い連絡が遅れました。残念ですが、今回の秋ハイキングは欠席します(ぺこり)」
ふむ…とりあえず怪我した時点で連絡してくるように(^^;
数年前にも、飲んだ帰りに転んで肋骨を何本か折り忘年会に参加できないことがあった。
お互い年なので、くれぐれも怪我には気をつけましょう。

てなことで、当日は毎回おやつを配給してくれるユキちゃんと、自称"できる女" セトとの3人で秋山歩きとなった。
ちなみに、セトはまだ呼び捨てのままである。
以前、我々の仲間には本物の雨女がいる…という話をしたことがある。
雨女の底力
雨を降らせたのは一度や二度ではなく、会えば必ず雨である。
ところが雨中決行を覚悟していた7月の尾瀬では、2日間とも "快晴!!!"。
しかし、びっくりマークが3つ付くくらいの快晴だったとしても、まだ"晴れ女"の称号を与えるわけにはいかない。

10月13日 金曜日、二人をピックアップしてから東北道を順調にとばし、那須ロープウェイ山麓駅前の駐車場に到着。
ところが!!、ほぼ同じ時間に到着した前回(8月の金曜日)は1台の車も停まっていなかったのに、今回はほぼ満車状態。
さすが紅葉の名所である。

支度を整え、ロープウェイ乗り場に向かう。
那須岳(朝日岳)では、1週間前に遭難事故があり男女4人が低体温症で亡くなっている。
その為、乗り場の入り口には消防職員の人達がチラシを配っていた。
亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
那須・朝日岳4人遭難事故から1週間 警察や消防などが登山者に注意喚起(外部サイト)

IMG_3537.jpeg山頂駅に到着。
いつもピースサインのユキちゃん、いつもきをつけ姿勢のセトと3人で記念写真を撮ってから出発。
雲海はなし。
ちなみに、8月に来た時の雲海はこんな感じ⇨那須岳から見える雲海

IMG_3543.jpeg茶臼岳に登る途中で一旦休憩。
セトのリュックは、子供の遠足用?

IMG_3550.jpg茶臼岳 1,915mに登頂。
峰の茶屋跡の避難小屋 1,720mまでは、約200メートルの下り。
淡い傾斜の下り坂で太ももが痛い(つる?)ということだけど、ここからの下りは岩場なので大丈夫?

IMG_3551.jpeg山頂から少し下った所。
カメラを向けると必ずポーズを取ってくれるユキちゃん。

IMG_3560.jpeg手のひらを広げながら下るセト。
歩き方を真似して見せたけど、あまり似ていないらしく脚下された。

IMG_3564.jpeg避難小屋が見えた。
那須岳は向かう方向により、いろいろな山容が見れて楽しい。
ちなみに、茶臼岳、朝日岳の辺りは高い木がなく風の通り道でもあるので、強い風が吹くことが多い。
先週の遭難事故の日も、小石が飛んでくるほどの強風が吹いていたとのことなので、体感温度は相当低かったんだと思う。

PA130004.jpeg色づいた山肌がいい感じ。

IMG_3570.jpeg峰の茶屋跡の避難小屋から牛ヶ首に向かう。
右側には雄大な眺めが広がっている。

PA130006.jpegハナゴケ。

23101501.jpeg(写真:セト)

無限地獄の噴気地帯。
気象庁の火山活動の状況ページによると、現時点での茶臼岳の噴火警戒レベルは「1(平常)」。
ただし、2014年10月に噴火した御嶽山の噴火警戒レベルも「1(平常)」だったので、気象庁が発表する警戒レベルをそのまま鵜呑みにしてはダメ…というのが私の見解。

IMG_3582.jpeg牛ヶ首から紅葉の名所 姥ヶ平(うばがだいら)へ向かう。
人が多い。

IMG_3583.jpeg振り返って茶臼岳を見上げる。
溶岩ドームがカッコいい。

IMG_3586.jpeg辺りは紅葉真っ盛り。
それとも、もっと色づく?

IMG_3589.jpegだいぶ下ってきた。

IMG_3593.jpegもうすぐ姥ヶ平の広場。
お腹ぺこぺこだけど、昼食を取る人達を横目で見ながら、ひょうたん池に向かう。

IMG_3597.jpegひょうたん池を占領中。
8月に来た時よりも100倍いい。

IMG_3607.jpeg23101502.jpeg(写真…セト)

広場に戻ると、いいタイミングでベンチが空いた。
メインディッシュは、ワカメ、焼豚、煮玉子入りのラーメン。
デザートは、"使える女" がサクッと出したお皿に、"使える女"が山の上まで担ぎ上げたマスカルポーネやフルーツを盛り付けたものである。
メインディッシュよりもお腹に溜まりそうである。

ここで余談。
"使える女"というのは、一般的にあまりいい意味では使われない言葉らしい。
しかし、私に取って"使える女"とは、文字どおり良い意味での"使える女"である。
今回のように、黙っていてもサクッといい仕事をする二人は、紛れもなく"使える女"である。
褒めちぎったので何かください。

ちなみに、肝心な時に使える男でありたい…というのは私が目指している目標だけど、この歳になるまで誰にも褒められた事がない。
そろそろ実現可能な目標に切り替えた方がいいかもしれない。

下山は、牛ヶ首から半時計周りで山頂駅に戻りロープウェイを使う。
目指す日帰り温泉の最終受付時間は14:30。
ロープウェイは20分に一本。乗ってる時間は約5分。
14:20の便では微妙に遅いけど、それくらいであればペコリすればなんとかなりそうだ。
しかし、14:40の便では温泉到着が15時になってしまい、ペコリではダメかもしれない。
それよりもなによりも、ロープウェイまでの道は淡い傾斜の下り坂なので太ももピキーンのセトの足も心配である。

ロープウェイの列に並ぶため、私が早足で先行する。
ところが!!、山頂駅前では、山岳救助訓練を終えた隊員達が大勢並ぼうとしていた。
これでは14:20の便に乗れそうもない。
何食わぬ顔ですす〜っと隊員達の間に割り込み、隊員達に混ざって列に並んだ。
隊員1、隊員2、隊員3の後ろに私が陣取り、その後は隊員20くらいまでいる。
隊員1の前には一般の登山者が大勢並んでいるので、我々は乗れるか乗れないかの境界線上にいる感じだ。

"使える女たち"が到着した。
「あの人カッコいい…」とか言ってる場合ではない。
乗車が始まった。
チケットを渡すゲートの前で列が止められ、係の人が隊員1に話しかけた。
「ご苦労様です。後ろの方達と一緒でもいいですか?」
「はい。」
隊員1、隊員2、隊員3が脇にズレて、我々がしんがりでゲートを通過した。
やった!! やりました!!

IMG_3613.jpeg無事日帰り温泉でサッパリ。
着替えた "使える女たち" が履いてる靴は、家から持ってきたスリッポン。
一人は庭の掃除用、一人はお母さんのお古らしいけど、どちらもラメっぽいのが入っていて、なんだか似ている…というか、なんともまぁ脱力モードMAXの雰囲気である。
東北自動車では大渋滞に巻き込まれたものの、予定の1時間遅れで無事にノンアル&トンカツ打ち上げ。
お疲れ様でした!
そして、快晴のまま1日が終わリました。
呼び捨てされていたセトは、1年ぶりに汚名を晴らすことになりそうだ。