力量の境目 伊豆1日目〜松崎から千貫門〜
2023年5月5日奥能登地震の際、私は震源地に近い能登町の海岸にいた。
⇨無理やりワンウェイ 奥能登3日目〜珠洲から五色ヶ浜〜
それから3年、今年のゴールデンウィークは再び能登へ行き、雪を被った北アルプスを見ながらカヤック旅をしたいと思っていた。
地図と睨めっこして考えたベースは穴水町周辺。
しかし、穴水町の現状を調べてみたところ、能登半島地震から2年経った今でも復興が道半ばであることがわかった。
宿も閉業している所が多い。
2024年1月1日に発生したマグニチュード7.6の能登半島地震の際、穴水町の最大震度6強だった。
⇨能登半島地震から2年![]()
⇨能登半島地震からの復興に向けて![]()
⇨復興公営住宅の本格的整備が前進![]()
ちなみに、3年前に私がお世話になった珠洲市の「民宿くにまつ」さんも閉業していた。
とってもいい民宿だったので残念!!
そんな状況の地域に旅をしてもいいのだろうか…考えた末、今回は見送ることにした。
今年のゴールデンウィークは、4月25日から5月6日までの12日間。
天気予報を見ながらながら海に出れる日をチェックしていたら、どうやら連休後半の5月5-6日が良さそうだ。
ただ一つ気がかりなのは、5月4日が爆風なこと。
ウネリの残り具合によっては、場所によっては難しい気がする。
当日の朝まで、伊豆に行くか三浦に行くか決めかねていた。
5月5日、4時に起きて海況を確認したところ三浦はNG。
伊豆に向かうことにした。
ただし南伊豆は危険なので、西伊豆の千貫門か恋人岬で久しぶりにキャンプをしたい。
しかし、途中で見えた宇久須の海は、まだ落ち着いていなかった。
松崎新港と旧港の間にある松崎港海岸に到着。
ここに来たのは2023年10月以来になる。
⇨裏切りの予報 伊豆1日目〜松崎から宇久須〜
快晴!!
松崎港海岸ではカヤックフィッシングをやる人がそこそこ来ている。
水上バイクの人も多い。
今日は、午後に向かってウネリもおさまっていく。
目的地の千貫門はここから1時間半ほどなので、のんびり出発しても大丈夫。
とりあえずカヤックを組み立てておく。
釣りを終えたカヤックフィッシングの人が戻ってきたので、海の様子を聞いてみた。
「どんな感じですか?」
「ウネリはありますが、流れが強い所があります。風が出てきたら厄介かもしれません。」
この方が、どの辺りまで行ったかはわからないけど、キャンプを予定している千貫門は烏帽子山の脇を抜けた先にある。
その場所は穏やかな時でも、状況次第で波が立つことがあるので、距離は短いけど今回のルート上では核心である。
⇨気分はハムレット 〜松崎から千貫門〜
10時半、カヤックを海岸に運んだ。
ほんとは遅ければ遅いほど海は落ち着くけど、早くルートの状況を確認したかった。
もし自分の力量を超えている場合は、別の場所を探さなければならない。
萩谷崎に向かう。
ウネリはあるけど問題なし。潮の流れも問題なし。
風が吹いてきたので、石部(いしぶ)の辺りで一旦上陸することにした。
目的の浜は先客がいたので、少しの間海上で待機。![]()
先客が浜を離れたので上陸。
初めて上陸した浜なので、様子をチェック。
恋人岬の浜よりも広く快適そうに見えるけど流木は少ない。
時間潰しに昼飯を食べてしまうことにした。
12時半、風はまだ少し吹いているけど雲見へ南下することにする。
しめ縄がかかっている牛着岩ではダイビングボートがいたので、沖出しして行く。
烏帽子山エリアに入った途端、波の高さが増しピッチが早くなった。
パドルを差し込む度にカヤックの向きを調整して進んでいく。
烏帽子山を抜けるまではたったの300メートルしかなく、ココを抜ければ一息つけるので弱気にならないようにした。
無事烏帽子山を通過し千貫門が見える場所まで来ると、今度は複雑なウネリと波が自分を取り囲んでいた。
千貫門の"玄関"には、サーフと化した波が勢いよく流れ込んでいるので裏口に回ることにした。
キャンプ地までもう少しだ。
千貫門を回り込み南側の浜が見える場所まで来た…そこには見たことが無い光景が広がっていた。
もともと千貫門辺りの海岸は砂浜ではなく、大きめの石(岩)が転がるゴロタの浜である。
その浜に、こんな感じのサーフがひっきりなしに押し寄せ砕けていた。
⇨沖ノ瀬島の脇で大波に遭遇
この場所では上陸不可!!
もう一度ドンブラコ状態の千貫門を周り、北側の海岸を確認しに向かう。
こちらもサーフではあるけど、南側のような暴力的なサーフにはなっていない。
なんとか上陸できないかと思い、波の合間を見計らっていたけど、腰あたりの水深の場所でカヤックを降り重いカヤックを引きずり上げるまでに次の波にやられるだろう。
ましてコクピットの中に海水が入ったら、カヤックを持ち上げることは不可能。
カヤックが壊れるのは確実で、自分もケガをするかもしれない。
千貫門を見ながら、どうすべきか思案した。
この海上で3時間くらい漂っていても、上陸できる海に変わる保証はない。
上陸できる海岸のない南に向かうことはできない。
残された道は、もう一度烏帽子山を通過し、キャンプできる浜まで戻るしかない。
帰路の烏帽子山脇は往路よりもハードだった。
大きくピッチの早い波が後ろからやってくるので、より注意深くカヤックの向きをコントロールする必要があった。
向かって来る大波は視覚的な迫力があるけど、後ろからの波は向きも大きさもわからないので違う意味で怖い。
スターンがグイッと持ち上げられ、押し出され、曲げられそうになるカヤックの向きを調整すると、カヤックの下を通り抜けた波が目の前に立ち上がり通り過ぎていく。
雲見の牛着岩が見えた時は、心底ホッとした。![]()
雲見から先の海況は、これってベタ凪ですか…と思うくらい心理的な耐性ができていた。
昼に上陸した浜でキャンプすることも考えたけど、明日のことも考え松崎の出艇地に戻ることにした。
松崎港海岸に帰還。
カヤックを車まで運ぶと、朝海況を教えてくれた人が車の脇でビールを飲んでいた。
「ここはテント張ってキャンプしても大丈夫ですか?」
「ダメとは書いていないので、キャンプしている人もいますよ」
「あなたはどうされるんですか?」
「僕は車中泊です」
駐車場を見渡すと、車中泊組はけっこういそうだ。
無事に帰還できたお祝いでビールを開けてしまった。
車中泊するにせよ、テントを張るにせよ、もう今日はココから動けない。
本格的に宴会開始。
たった数時間前の格闘が、まるで夢の中の出来事のような気がする。
日が暮れてきたので、ワインの入ったマグカップを片手に散歩。
流木を組み合わせて作った作品の下には、ハマヒルガオと…黄色い花はコマツヨイグサだろうか。
堤防には、静かに夕陽を眺める人達がいた。
公園に戻り、宴会を再開。
20時半、公園から離れた暗い海岸にテントを張った。
飲みながら考えた明日のプランは、堂ヶ島にある天窓洞の見学。
せっかく松崎で朝を迎えるのだから、早朝にカヤックを浮かべ、観光船が動き出す前に海上散歩する。
今日はいろいろあったけど、いい1日だった。![]()


